Project Description

多くの生徒がここを比喩して、「刑務所」だという。一部の教師もそのように表現するという。ここへ到着する前に、以前お世話になった学校の教師にバギオ市内で会い、この学校の評価を聞いた。彼女も同じような評価をしていて、入寮する私を非常に心配していた。HELPアカデミーは本当にバギオの「刑務所」だろうか。

 

確かに土日には、スタッフが点呼に各部屋を訪問し、一人ひとり名前を呼んで在室を確認する。これは依然映画で見た網走刑務所や、テレビドラマで放映される少年院と同様である。またボキャ・テストや、授業、テスト、各種イベントに参加することが強制され、非参加や問題の間違い数、さらに成績によってペナルティ数が算出され、数字によって人間が評価されるシステムである。このような数字で高度に管理化された統治システムに、人間性が見いだせないと、まるで別世界の収容所で生活をしている感覚に陥るのではないだろうか。

 

自分も当初は同様な感覚を感じたが今は違う。ここはコロシアム(格闘技場)のような気がしてきた。戦う相手は、無能で惰弱な自分である。見つめて声援を送っている観客は、自分の両親、家族、友人、教師である。彼らの声援を背に、惰弱な自分と戦い抜いて、どれだけの知性と精神力をここで獲得するかが問われているのである。「刑務所」などと、表現しているうちは、囚人や奴隷のような自分で終わることを知るべきである。我々は戦士であり、将来の人生修羅場を戦い抜く技量を磨いているのである。

 

私の敬愛する大偉人の一人は、戦時中治安維持法で逮捕され獄死した。食事も満足に支給されない劣悪な環境の中で「心ひとつで獄中でも楽しみがあります」と家族に書き送った。そう、どんな環境でも心の定め方によって、どのようにも変えることができるのである。

 

ここも母国の日常から比べると、過酷な環境であることは認めるが、それこそが最大の価値を生み出す環境ではないだろうか。今自分はこのような環境に身を置けたことに、学校関係者や、教師、スッタフへの感謝の想いは尽きない。自分の胸中では、ここが刑務所からコロシアムへと変化したが、さらにいつの日かは、デズニーランドのようなすべてを楽しみにできるような自分へと、変われることを期待している。
                       

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